【「竹割り箸」の発明】
うどんちりの開発中に、こんな出来事がありました。そのうどんが、あまりにも重くて、太くて、腰があるので、それまでの割り箸では折れてしまうのです。苦労して折角作った、太くて腰の強いのが仇(あだ)になっては、そのうどんも、これでは商品になりません。太くて、強い腰のある、美味しい、「夢のうどん」にこだわって、研究に研究を重ねて完成した、そのうどんを、世に出さないわけには行かない。強い愛着と執念を持って、まず、箸の情報集めに奔走し、東奔西走の末ようやく、奈良県吉野の箸やさんが、いろんな斬新な箸を作ってくれる、と聞きすぐに相談に出向きました。
ある日、箸やさんと材料の木を探しながら、山道の小さな祠(ほこら)に手を合わせていると、目の前の美味しそうなお供えに、箸が添えて有ったのです。その箸は竹を割っただけの粗末なものでした。
最近では、日本中に広まり、省資源の一翼を担うようにも、なってきました。
これで秘伝の出汁と折れない竹箸の開発によって、夢の日本一、太くて腰の強い「うどんちり」が京都の独特の贅沢な素材と共に、京名物の鍋料理として、その時、確立されたのです。
さらに、それぞれの料理の薬味として、清水坂の七味家さんの協力で山椒味の香りの効いた特製七味も調製され、平八の味として今も平八の料理の力強い味方となっています。